バシク行列の近況 June 6, 2019 koteitan 目次 [A] バシク行列システム BM4 の数学的な定義 [B] バシク行列システム BM4 の計算例 [C] ペア数列数の停止性証明 参考文献 ----------------------------------------- [A] バシク行列システムの数学的な定義 バシク行列数を数式で書くと下記のようになる[6]。 これは2018年9月26日にkoteitanによってここに書かれた. https://googology.wikia.org/wiki/User_blog:Koteitan/Purely_mathematical_definition_of_BMS Tex なので,読者にはコンパイルしてみてほしい. \begin{eqnarray*} \mathrm{バシク行列数:}~K&=&\mathrm{Bm}^{10}(9)\\ \mathrm{巨大関数:}~\mathrm{Bm}(n)&=&\mathrm{expand}((\underbrace{0,0,\cdots,0}_{n+1})(\underbrace{1,1,\cdots,1}_{n+1})[n])\\ \mathrm{展開ルール:}~\mathrm{expand}([n])&=&n\\ \mathrm{expand}({\boldsymbol S}[n])&=&\left\{\begin{array}{ll} \mathrm{expand}({\boldsymbol S}_0\cdots{\boldsymbol S}_{X-2}[f(n)])&(\mathrm{if}~\forall y~S_{(X-1)y}=0)\\ \mathrm{expand}({\boldsymbol G}{\boldsymbol B}^{(0)}{\boldsymbol B}^{(1)}{\boldsymbol B}^{(2)} \cdots {\boldsymbol B}^{(f(n))}[f(n)])&(\mathrm{otherwise})\\ \end{array}\right.\\ \mathrm{活性化関数:}~f(n)&=&n^2\\ \mathrm{行列:}~{\boldsymbol S}&=&{\boldsymbol S}_0{\boldsymbol S}_1\cdots{\boldsymbol S}_{X-1}\\ \mathrm{列:}~{\boldsymbol S}_x&=&(S_{x0},S_{x1},\cdots,S_{x(Y-1)})\\ \mathrm{良い部分:}~{\boldsymbol G}&=&{\boldsymbol S}_0{\boldsymbol S}_1\cdots{\boldsymbol S}_{r-1}\\ \mathrm{悪い部分:}~{\boldsymbol B}^{(a)}&=&{\boldsymbol B}_0^{(a)}{\boldsymbol B}_1^{(a)}\cdots{\boldsymbol B}_{X-2-r}^{(a)}\\ \mathrm{悪い部分の列:}~{\boldsymbol B}_x^{(a)}&=&(B_{x0}^{(a)},B_{x1}^{(a)},\cdots,B_{x(Y-1)}^{(a)})\\ \mathrm{悪い部分の要素:}~B_{xy}^{(a)}&=&S_{(r+x)y}+a\Delta_{y}A_{xy}\\ \mathrm{上昇量:}~\Delta_{y}&=&\left\{\begin{array}{ll} S_{(X-1)y}-S_{ry}&(\mathrm{if}~y\gt t)\\ 0 &(\mathrm{if}~y\leq t) \end{array}\right.\\ \mathrm{上昇行列:}~A_{xy}&=&\left\{\begin{array}{ll} 1 &(\mathrm{if}~ \exists a( r=(P_{y})^a(r+x)))\\ 0 &(\mathrm{otherwise}) \end{array}\right.\\ \mathrm{非零最下行:}~t&=&\max\{y|S_{(X-1)y}\gt 0\}\\ \mathrm{bad root:}~r &=& P_t(X-1)\\ S_{xy}~\mathrm{の親}:~P_{y}(x)&=&\left\{\begin{array}{ll} \max\{p|p\lt x \land S_{py} \lt S_{xy} \land \exists a( p=(P_{y-1})^a(x))\} & (\mathrm{if}~y\gt 0)\\ \max\{p|p\lt x \land S_{py} \lt S_{xy} \} & (\mathrm{if}~y=0)\\ \end{array}\right.\\ \end{eqnarray*} ------------------------------------------- [B]バシク行列 BM4 の計算例 (0,0,0)(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3)(4,2,0)[2] を、上記ルールに従って計算する。 S===S0S1S2S3S4(S00,S01,S02)(S10,S11,S12)(S20,S21,S22)(S30,S31,S32)(S40,S41,S42)(0,0,0)(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3)(4,2,0) 1行目の親:1行目最右列 S40=4 よりも小さくて左にある最右要素は S30=3 である。このように、1行目にてある要素よりも小さくて左にある最右の要素を親 と呼ぶ。Sxy の親がいる列は Py(x) と表される。 直系先祖: 直系先祖の親か自分自身を、その要素の直系先祖 と呼ぶ。この場合、S40=4 の直系先祖は S40=4, S30=3, S20=2, S10=1, S00=0 である。 2行目以降の親: 2行目以降では、ある要素 Sxy に対して、その要素の一つ上の要素 Sx,y−1 の直系先祖と同じ列 (Py−1)a(x) にあり、その要素 Sxy よりも小さくて左にあり最右の要素を親とする。 bad root: 非零最下行 t 最右列 X−1 の親の列 Pt(X−1) を bad root r と呼び、それが複製されない良い部分 G と、複製される悪い部分 B(0) の境目になる。この場合、2行目が非零最下行であり、bad root は2行目最右列 S41=2 の親、つまり S11=1 であり、bad root は2行目 (r=1) となる。 良い部分と悪い部分: Sr=(1,1,1) となるので、G=(0,0,0),B(0)=(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3) となる。 上昇量: bad root Sr=(1,1,1) と刈られる子 SX−1=(4,2,0) の値を用いて、上昇量は (Δ0,Δ1,Δ2)=(3,0,0) と計算される。 上昇行列は、bad root を直系先祖にもつ要素が 1 になる。この場合、Axy=(1,1,1)(1,1,1)(1,1,1) となる。 悪い部分の複製: これより悪い部分 B(a) は B(0)=(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3), B(1)=(4,1,1)(5,2,2)(6,3,3), B(2)=(7,1,1)(8,2,2)(9,3,3), B(3)=(10,1,1)(11,2,2)(12,3,3), B(4)=(13,1,1)(14,2,2)(15,3,3) となる。 展開ルールにより、S[2]=GB(0)B(1)B(2)B(3)B(4)[4] すなわち (0,0,0)(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3)(4,2,0)[2] = (0,0,0)(1,1,1)(2,2,2)(3,3,3)(4,1,1)(5,2,2)(6,3,3)(7,1,1)(8,2,2)(9,3,3)(10,1,1)(11,2,2)(12,3,3)(13,1,1)(14,2,2)(15,3,3)[4] となる。これを行列の形で表記すると、このようになる。 000111222333420[2]=000111222333411522633711822933101111221233131114221533[4] この結果は、バシク行列計算機の計算結果と一致する。 改良 編集 バシクが2015年8月21日に定義したバシク行列の最初のバージョン(通称BM1)に対して、Hyp cos は 2016年4月28日に英語版 Talk page にて計算が終了しない例を示した。その後、バシクがバシク行列バージョン2 (BM2) をバシク行列数の BASIC プログラムとしてブログ記事で発表した[7]。また、バシクが解説スライドを作成した[8]。 その後、2018年6月12日に、バシクによって BM3 が定義された[9]が、6月29日にAlemagno12 によって停止しない例が示された[10]。その後、2018年8月28日にBubby3によって BM2 も停止しない例が示された。[11] 最終的に2018年9月1日にバシクによって定義が修正され、現在は バージョン BM4 となっている。 また、BM4 が生まれるまで、BM2.2, BM2.3, BM3.1, BM3.2 など亜種がたくさん提案された[12][13]。 https://googology.wikia.org/wiki/User_blog:Ecl1psed276/A_list_of_all_BMS_versions_and_their_differences にはいっぱいバージョンがあるよ,BM2.2 とか BM2.5 とか BM2.6 とか BM3.1 とか BM3.1.1 とか BM3.2 とか. PsiCubed2 さんも Novbember 20, 2018 にひとつ提案してくれています. https://googology.wikia.org/wiki/User_blog:PsiCubed2/My_own_version_of_BMS ---------------------------------------------- [C] ペア数列数の停止性証明 バシク行列の計算が常に終了するかどうか、という疑問は未解決であったが、黒羽カフカ[14]によって、2016年に巨大数探索スレッドへ一定の条件で計算が終了する証明の概略が投稿された[15]。しかし、その後の検討によれば、その証明は完全ではなかった[16]。 2018年11月11日にP進大好きbotはバシク行列を2行に限定したペア数列システムの停止性を証明した[17]。 大きさの評価 編集 1行行列(原始数列システム)は f0(n) の強さを持つ。2行行列(ペア数列システム)は、fψ(Ωω)(n) の強さを持つ。 バシク行列はあまりにも強力なので、3行行列(トリオ数列システム)の増加速度の急増加関数による解析は困難であるが、ある程度までは解析されている[18][19][20][21][22]。 関連文献 [6] ユーザーブログ:Koteitan/バシク行列の数式的定義 [7] ユーザーブログ:BashicuHyudora/BASIC言語による巨大数のまとめ [8] バシク行列システムの解説 [9] バシク行列バージョン3 [10] BM3の停止しない例 [11] BM2の停止しない例 [12] ユーザーブログ:Koteitan/バシク行列の亜種ルールの分類 [13] A list of all BMS_versions and their differences [14] ユーザー:KurohaKafka [15] 巨大数探索スレッド11.75: 152-155とコピー [16] ユーザーブログ:KurohaKafka/バシク行列_計算可能性の証明(コメント欄参照) [17] ペア数列システムの停止性の証明 [18] バシクによる解析 [19] 黒羽カフカによる解析 [20] Matthew による解析 [21] Aarex による解析 [22] バシク行列解析リンク by koteitan